田舎暮らしへの道

アラフォー独身女による田舎暮らしへの道

化学物質過敏症が発症した瞬間とそよ風クリニックへ行くまで

f:id:inkgrs:20210409094108j:plainここで化学物質過敏症がコップの水が溢れるごとく発症した瞬間のことから

専門クリニック受診に辿り着くまでの話を。

 

▼発症はある日突然

受診から1年半ほど前の梅雨時。

通勤電車の中で近くに立った人の柔軟剤のニオイで
一瞬にして喉が締まり息ができなくなり、
動悸、手足末端のシビレ、
あっという間に目の前に白いモヤがかかって
視野が狭くなり、意識が無くなって
倒れそうになりました。

当初はパニック障害だと思っていたのですが...

 実は数年前にパニック障害を発症した経験があり
一時寛解していたものが再び現れたものと思い込み
精神科でパニック障害の治療を受けます。

しかし何か違う。
体感的に別ものだと感じ始めます。

というのは“本格消臭”を謳い文句にした洗濯洗剤レノアで
洗濯したものを自宅室内で干していたところ
またあの日のように
一瞬にして喉が締まり息ができなくなり、
動悸、手足末端のシビレ、
あっという間に目の前に白いモヤがかかって
視野が狭くなり、意識が無くなって
倒れ込んでしまったからです。

自宅内で発作が起きるなんて
パニック障害がひどかったときには
一度も経験したことがありませんでした

しばらく立てず倒れたまま荒い呼吸に
身を任せることしか出来ませんでした。
救急車を呼ぼうとしましたが体は動きません。
しかしだんだん視界の白いモヤがとれてきて
やっと起き上がることができたので
救急車を呼ぶまでには至らず...

この体験は恐怖でした。
これはヤバいと思いました。

思い返すと電車の一件以来
人工的なニオイが漂ってくるだけで
頭痛、悪心、胃腸の不快感、げっぷ、頭重などが
数日間続くようになったことと
関連があるような気がしてきました。

今回は洗剤のニオイを吸い込んだことにより
引き起こされたことだと確信を持ちます。

ネットで調べると「化学物質過敏症
という病気の症状にぴったりではありませんか。
しかしこの病気を診てくれる専門医は
日本に少ないことを知ります。

 

*************

 

旭川医科大学医学部附属病院  
国立病院機構 盛岡病院 化学物質過敏症・環境アレルギー外来
かくたこども&アレルギークリニック (宮城県
青山内科小児科医院 (群馬県
北里研究所病院(東京都)
そよ風クリニック (東京都)
ふくずみアレルギー科 (大阪府
国立病院機構 高知病院 アレルギー科

 
 *************
※当時の情報のため現在状況変わっている場合があります。
 

上記は化学物質過敏症を専門とする主な病院です。
最近では化学物質過敏症を診てくれる民間の
クリニックも増えているようですが
逆に大きな病院では閉鎖する病院も...

 

発症直後は緑茶のニオイすらダメになり...
ダメなニオイがひとつ、またひとつと増える日々は
この先どうなっていくのかとても恐ろしかったです。

マスクを二重にして仕事へ行ってもその道すがら
すれ違う人の柔軟剤や洗剤、香水、整髪料、
ハンドクリームなどなど...のニオイで
気持ち悪くなりました。

職場へ行けば香料が入った
除菌・消臭スプレーをかけまくられた
ユニフォームを着なければならず
一日の終わりには頭痛と吐き気でぐったり。

酷い時には香料を吸い込んだ後
数日寝込む事もありました。

化学物質過敏症」の方のブログなどの情報を頼りに
できることをさまざま試しました。

まず身の回りの香料が入ったものを全て破棄。
シャンプー、リンス、洗顔料、洗濯洗剤、
せっけん、食器洗い洗剤...。

経済的に余裕がある暮らしではなかったため
とても痛い出費でしたが...
(体調を悪くする製品は安いものが多い)
本気で対処しなければヤバいと思い
全てを無香料製品に買い替えました。

すると不思議ととても楽に息が吸えるようになります。

 

▼ついに病院へ行くことを決意

 

食べ物に気を使ったり
なるべく毒素を体外排出
させるために汗をかいたり
無香料製品にしたり
出来る限りのことをしましたが、
やはり毎日外出し
息を吸うだけで苦しい日々が続きます。

通勤電車がダメになったので
それまでの仕事は退職。
この頃は日雇いアルバイトで食いつないでいました。
なるべく近場の現場を選べることや
体調が悪くなったら休めるからです。
もちろんこんな仕事の仕方だと
生活はままならない状況でした。

発症からおよそ1年後。
不安が募り
ついに病院へ行くことを決意。

居住地からいちばん近い専門医院
東京都にある
「そよ風クリニック」に
電話で問い合わせたところ
最短で4ヶ月後の予約になるとのことでした。

毎月初めに最短月の予約を
スタートさせるということで
翌月1日に改めて予約の電話をしました。

 

▼予約できた!

翌月1日。
電話をすると何度か話し中になりました。
患者さんがそれだけ殺到しているのでしょう。
何度かかけ直して予約することができました。

 

コンサートチケット発売日に
電話をかけまくった数年前以来です。
あんなに電話をかけまくったのは。

いろんなニオイで具合悪くなるので
コンサートのような
人がたくさん集まる場所には
もう行けませんけどね。

 

そよ風クリニックに電話すると
対応してくださった方から
保険が適用されないことや
来院時の持ち物などの説明をされたと思います。

来院までに必要書類を送るので
記入してきてくださいということでした。

第一歩を踏み出せたと少しホッとしました。

受診日より1ヶ月前くらいだったでしょうか。
病院から書類が送られてきました。

生活上でどういったものに過敏反応が起こるのか、
またどのような症状に悩まされるのかなどの
問診票がメインでした。

 

▼いざ病院へ

 予約から4ヶ月後。
待ちに待った受診日。

ところが病院がある荻窪までは
人ごみをかわし
都心の電車を乗り継ぎ
行かなければなりません。
緊張しました。

ネット通販でみつけた
活性炭マスクを二重にして装着。
各駅停車や空いている車両に
移りながら
時間をかけて向かいました。

 

活性炭マスクは通常のマスクより断然ニオイを通しません。
しかし二重装着でも近くにニオイの元が
ある場合は隙間から多少ニオイがします。

また活性炭がニオイ物質を吸着し蓄積。
今度はそれを嗅ぐことになるため
こまめに替えることが必要です。

 

その数年後、活性炭マスクもダメになりました。
30分も付けているとマスク自体の
素材の臭いとおぼしき酸っぱい臭いを
鼻奥に感じるようになりました。
さらにマスクをはずしても1日中それが
残り続けて苦しい事態に...

そのため現在、人がいる場所へ行くときには
いろいろ試した中で素材の臭いがしなかった
超快適マスクやガーゼのマスクなどを
二重にして突撃。
さっさと用事を済ませ逃げるように
立ち去るようにしています。

 

1時間前には病院の最寄り
荻窪駅に到着。
しかし駅から病院までの経路が
わかりにくくかなり迷いました。
地図を持って行ったのですが
閑静な住宅街の路地には
目印になる大きな建物がなく、
なかなかわかりにくい場所にあります。
時間には余裕を持って
行くことをおすすめします。

結局、駅から徒歩12分
とのことでしたが
1時間ほどかけ予約時間
ギリギリに到着。

1階に辻安全食品株式会社という
会社が入っている
古いマンションといった感じの外観。
2階の階段を登ると
そよ風クリニックの入り口がありました。

 

▼いざ診察

入り口を入ると前の患者さんが
数名いらっしゃいました。
木をふんだんに使った室内は
おしゃれな雰囲気。

受け付けをしてくださった
感じのいい女性看護士さんから
靴下と薄手の布で出来た
シャワーキャップのような帽子を
渡されロッカー室へ。

事前に送られて来た書類には
もちろん香料を持ち込まないようにと
書かれているのですが、
病院へ辿り着くまでにどんな
化学物質やニオイが付着するかわかりません。

靴下や髪の毛についた化学物質や
ニオイが病院内へ移らないようにという
徹底した対策に安心しました。

職場や友人に
柔軟剤のニオイで具合が悪くなる
と伝えても
「そうなんだ、クサかったら言ってね」
と理解は示してくれても
柔軟剤や抗菌剤配合の
洗剤を使うのを
やめてくれるまでの本気の対策を
してくれる人は少ないのです。
病院の本気を感じました。

 

まずは真っ暗な部屋で
眼球運動(自律神経)の
テストなどを行いました。
その結果が出たら診察室へ。

宮田先生はほがらかで
気さくな印象の白髪の先生です。
問診票やテスト結果を見ながら
化学物質過敏症です」
とついに告知されてしまいました!!

この病気に対する情熱や
化学物質の影響が行き着く
環境、その先の生命に対して
危惧されていることなど
多岐にわたるお話を伺っていて
ふとご年齢をお伺いしたところ
なんと御年82歳とのこと!(受診当時)
お若くて驚きました。

とても丁寧に今後、食事や
生活で気をつけるポイントなどを
図解で説明してくださいました。

治療法はない、
薬もないと思っていたのですが
対処方法はあるのだと
希望をいただきました。

 

▼行ってみた感想

 

まず理解してくれる先生が
この世に存在している!
ということが嬉しくてホッとしました。

ちなみに診察料は
実費で1万5千円ほどでした。

化学物質過敏症とは
化学物質に暴露され続けた結果、
その人の許容量をオーバーし
さまざまな症状が出る病気。

それは問診と
眼球運動などのテストで
有機リン中毒患者と同じような
自律神経系の反応がみられる
状態になっていることから
三者からも判別できること。

目に見えないけれど
確かに存在する病気であると
認めてもらえました。

宮田先生はかつて研究をしている時に
有機リン中毒になった経験があるとか。

中毒の苦しみとは
経験した人にしかわからない部分が
多いと思います。

化学物質過敏症の疑いがある方は
もし行けるなら一度
専門医に診てもらうと
前を向けると思います。

化学物質過敏症」は
2009年に厚生労働省
病名登録しているにも関わらず
この病気について
理解しようとしない医師、
精神的なものだろうという
偏見を持っている医師もいると聞きます。

私はここ1年の間に
自分と家族の入院を経験しました。
化学物質過敏症という
病気があるので香料に配慮ください」
というおしらせの紙を
入院前に病院からいただいたのですが、
柔軟剤のニオイが
ぷんぷんした看護士さんだらけで
とてもがっかりしました。
まだまだそのような認識なのです。

病院関係者がそうなら
まして一般の職場、友人、
家族にこの見えない病気の辛さを
理解してもらう事が
どれだけ大変な事か。

そもそもニオイは
とてもセンシティブな問題。
好き嫌いの問題とも勘違いされます。
ただでさえ言いにくいわけですが、
苦しくて苦しくて仕方なく
理解を求めて周囲にお願いすれば
「自分が好きな香りを否定された」
「精神的なものじゃないの?」
「神経質で面倒くさい」
と言われるとしたらあまりに辛すぎます。
二重の苦しみです。

香料がキツくて疎遠になってしまった
人間関係は数知れず。
ニオイごときでと
おっしゃるかもしれませんが、
ニオイごときで人生損失してます。
これは当事者になってみないと
分からない辛さです。
そして一度なってしまうと
かなりキツいです。

もっと重篤で寝たきりになるくらい
苦しんでいらっしゃる方も
いらっしゃると聞きます。
ネット検索するとそんな方々の
ブログがたくさんみつかります。

周囲のひとりひとりに
「ニオイを控えてもらえると
助かります」
「柔軟剤で頭が痛くなって
しまうので使うのやめていただきたいです」
「ファブリーズを使わないでいただけませんか」
と言って回るというのは...
個人では説得しきれません。
時間と労力が足りませんし
すれ違う人や飲食店で隣に座る客の
柔軟剤を止めることはできません。

この病気はきっかけや反応する
化学物質、症状には個人差が
大きいのですが
マイクロカプセル、
抗菌剤などが含まれる洗剤、
柔軟剤、消臭・抗菌スプレーで
過敏反応が出る方が
多くみられるようです。

一刻も早く企業は代替えとなる
安全性の高い製品を販売していただき、
現在100万人とも言われている
化学物質過敏症患者の
引き金となった成分が使われている
商品全ての販売中止を希望します。

年をとった両親は
近くに無香料・無添加洗剤というものが
売ってないから好きじゃないけど
香料入り・抗菌剤入りをがまんして
使っていると言っていました。

父がそんな洗剤で洗った
タオルのニオイが辛いと
ガン闘病で入院していた母も
亡くなる数ヶ月前から
言うようになっていました。
抗がん剤の副作用でニオイに過敏になることが
あるとのこと)

ひとりひとりの意識の問題だけでなく
遠くまで買い物に行けなかったり
ネット通販が苦手な高齢者もいます。

危険な製品の流通を止め
安全な製品を流通していただくのが
消費者と企業双方にとって
一番いい解決法ではないでしょうか。

100万人 対 企業 という大訴訟になる前に。